老後2000万円問題について
「老後2000万円問題」という言葉を聞かれたことのある方も多いと思います。
これは、2019年に金融庁の金融審議会市場ワーキンググループの報告書に記載されたものです。
簡単に言えば、「退職金と老齢年金の合計額を取り崩しても、平均寿命まで生きるには2000万円足りない」というものです。
個人の資産状況や支払ってきた社会保険料によって、この根拠数字は変わります。
故に、誰もが「定年退職時に2000万円なければいけない」というわけではありませんが、今後は自分で準備する「じぶん年金」の重要性が高まることは間違いありません。
ご自身の公的年金額を知りたい方は、国から送られてくる「ねんきん定期便」を確認してみてください。
国も、明言はしませんが「老後資産形成の自助努力」が必要と考えるからこそ、新たな優遇制度をいくつも創設しました。
「iDeCo」「NISA」がこれにあたります。
iDeCo個人型確定拠出年金
iDeCoは個人型確定拠出年金とよばれるものです。
お付き合いのある銀行や、ネット広告が積極的に営業をかけてきます。
ここ数年で加入された方も多いのではないでしょうか。
運用中利益は非課税
受取時は退職所得として優遇課税
所得税住民税の減額
メリットは目白押しです。
しかしながら、一定の条件に該当しない限り、満期まで積立金を受け取ることはできません。
お勤めする会社が「企業型確定拠出年金」を導入しているのであれば、こちらに資産を移転することをおすすめします。
企業型は、上記の個人型メリットに加えて、条件を満たせば「社会保険料」も減額可能です。
NISA少額投資非課税制度
NISAも、国が個人の資産形成のために設けた優遇制度です。
「Nippon Individual Savings Account」の略であり、購入した金融商品にかかる利益が非課税になる制度です。
毎年120万円までの投資が非課税
最大600万円の投資額が非課税
実質10年間の非課税メリット
NISAのメリットは、何と言っても毎年120万円までの投資が非課税になることです。
さらにNISAは5年間利用できるため、最大600万円もの投資額が非課税扱いになります。
ロールオーバーすることにより、実質10年間の非課税メリットを得ることができます。
デメリットは、他の口座と損益通算できないことです。
この辺りは、実際に口座を持つまたは開設予定の証券会社に確認してみてください。
積立NISA
積立NISAは、少額、長期バージョンのNISAだと考えてください。
期間は20年間となります。
少額からの資産形成を後押しするために作られた制度のため、投資対象は投資信託(ETFを含む)に限られます。
どのような投資信託が選べるかは金融庁のWebサイトから調べることができます。
初めて投資をする方にも、優しい制度といえます。
金融庁が積立NISAの対象となる投資信託に求める年利の目安が、「4%」程度となります。
長期にコツコツと運用をしてくださいね、というメッセージです。
「株式に投資したい、もっと良い利率の見込める投資信託を選びたい」という方は、NISAまたは変額保険がおすすめです。